2018年04月08日

【映画の感想】 日活ニューアクションの時代 『 大幹部 ケリをつけろ 』


監督 : 小沢啓一
日活
発売日 : 1988-04-25



評価:★★★☆☆ 健気な范文雀がいい!



ラピュタ阿佐ヶ谷 のレイトショー企画 『 日活ニューアクションの時代 -アンチヒーローは「破壊」と「破滅」に向かって疾走する 』 に行ってきた。


観たのは 渡哲也 主演の『 大幹部 』シリーズ 第二弾ーー

『 大幹部 ケリをつけろ 』



例によって、おおまかなストーリーを書いていきつつ、その都度感想を書いていくので、ネタバレが嫌な人はご遠慮ください



大矢根組の幹部、朝倉竜次(渡哲也) はヤクザ稼業から足を洗うことを条件に、敵対する高畑組組長の暗殺を請け負う。


【カチハヤ】
 冒頭いきなり大原麗子とのベッドシーンから始まり、終わるやいなやドスを持って決戦の場に向かうという、エロスとバイオレンスのアバンタイトルは、ジャンル映画の面目躍如。ただ、どこかうら悲しさが漂うのは、渡哲也の個性か。セガール に対する リーアム・ニーソン の悲しさに通じる。


竜次が二年の刑を終えて出所してくると、大矢根組はすっかり落ちぶれ、今では新興ヤクザ北洋会にシマを荒されている始末。妻の 葉子(大原麗子)も行方知れずだった。

北洋会は元高畑組で、竜次に片腕を切られた 本田(青木義朗) が立ち上げた組織で、バックには全国組織である中部連合の玉川(内田良平)がいた。


【カチハヤ】
 左腕を義手に換え復讐に燃える本田がいい味を出している。玉川のヌラヌラした感じと好対照。



大矢根組は事実上大矢根親分が引退し 牧村(今井健二) が実権を握っていた。竜次は大矢根親分と、刑務所に入る代わりに葉子に百万円を渡す約束をしていた。竜次の思惑とは違い実際には約束は果たされておらず、その金は牧村が中部連合と裏取引する資金に使われていた。牧村は中部連合が北洋会とつながっていることを知らない。

竜次に葉子のことを忘れさせようと、牧村は自分の女である ユカ(范文雀) を充てがう。


【カチハヤ】
 この時点では「范文雀は大原麗子に対する当て馬でしかないのかな」と思っていたが、その予想は良い意味で裏切られる。



竜次はユカに心ひかれながらも、葉子への想いが断ち切れず捜し救める。再会した葉子は、弟分の 及川辰夫(浜田晃) と駆け落ちしており、竜次への罪悪感を感じながらも今のかたぎの生活に幸せを感じていた。竜次の出所を知った及川は葉子に内緒で彼を訪ねる。竜次は、指を詰めてケジメをつけようとする及川を止め、ユカを「女房だ」と紹介。及川に気兼ねなく葉子と幸せになるよう話す。


【カチハヤ】
 女房だと紹介されたときのユカのなんともいえない表情がいい。「いいの? 私でいいの?」と何度も聞く様は、これまでの薄幸な人生を窺わせる。



百万円が葉子に渡されていないと知った竜次は、組の金バッチを大矢根と牧村に投げつけ、中部連合の大幹部、玉川のもとへ乗り込む。金を返すようにとせまるが受け入れられるはずもなく、怒りに燃えた竜次は子分のサブと新平、刑務所仲間の木戸、中里(地井武男) らと、北洋会が中部連合に納める上納金を奪う計画を立てる。


【カチハヤ】
 玉川のところに乗り込んだとき、居合わせた本田が積年の恨みもあって竜次を殴るが、そこでやり返さない竜次が逆に恐ろしい。絶対にこの後なにかやるぞ!、という期待感がある。



計画は見事成功し、竜次たちの手もとには数百万の金が集まるが、中部連合の魔の手はたちまち竜次たちを危機に落し入れる。サブ、新平、木戸、中里は、それぞれ殺されたり、人質にされて拷問を受けたりする。


【カチハヤ】
 中里(地井武男) の拷問シーンが白眉! 上半身裸で磔にされ、水をぶっかけられた上に、剣山のついた万力で手を挟まれる 。剣山も万力も、拷問道具としてはありふれているかもしれないが、組み合わせることで新鮮さを生むのは発見だった。本作では登場シーンの少ない脇役である地井武男だが、どんな映画でも、彼が出てくると何かしら面白い起こる。信頼のおける役者である。



竜次はユカを及川と葉子に託し逃亡をはかるが、及川も玉川の手によって捕らえられてしまう。

絶体絶命を悟った竜次は単身中部連合へと殴り込む。竜次は及川を助けて共に戦い、本田や玉川を殺るが、及川は殺られ、彼自身も重症を負う。

及川の遺体を前に泣き叫ぶ葉子。街中を探し回ったユカは、遂に竜次を見つけ、二人は互いの名を呼びながら駆け寄る。


【 総評 】
 范文雀がいい役で良かった。彼女は美人すぎるくらい整った美人顔なので、薄幸は役が似合うのだが、その見た目故に最後ちゃんと幸せになってくると嬉しい。

クライマックスのアクションシーンは、電車の車両整備場だと思うが、補修用に線路の下に入れるようになっていてその高低差を使って殺りあったりするのは良いアイデアだと思った。

シナリオ面で観た場合、大原麗子が惜しいと思った。せっかく前の方で献身的な妻として描かれているのだから、途中で悪女に変身して及川から竜次に乗り換えようとするとか、もしくは本田や玉川ら敵方に寝返るとかしたらギャップがあって面白かったのに。

全体的に登場人物が変化しないのが気になった。僕は師匠の大川タケシから「ドラマとは変化だ。善人が悪人になったり、悪人が善人になったりするのがドラマだ」と教えられ、その後さまざまな映画を見るにつけ、それが正しいと思うに至ったので、変化のないシナリオは(それがジャンル映画なら特に)良い評価はできない。

ちなみに当時、当時上映されたのは、次回感想を書く予定の 『 野良猫ロック セックス・ハンター 』 だったそうで、実はこれがとんでもない映画だったのだが、それはまた別の話。


にほんブログ村
posted by カチハヤ at 13:43| Comment(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。