2017年07月27日

【本の感想】『 ななつのこ 』


評価:★★★☆☆ 白いたんぽぽは、ある


女性作者に多いリリカルな作品を苦手としている男性読者も多いだろう。

本作はそういう方にこそお薦めしたい、リリカルでありながらちゃんととした構造をもった作品だ。

マンガに例えるなら『 動物のお医者さん 』や『 のだめカンタービレ 』のようなものといえばわかりやすいか。


あらすじはこうだ。

短大生の入江駒子が『ななつのこ』という本と出逢い、人生初のファンレターを書こうと思い立つ。

身の周りで起きた些細でありながらちょっと興味を引く事件を交えて長い手紙を送ったところ、作者から返事が届く。

その返事にかかれていたのは事件の解決編とも言うべき内容だった。



つまり、主人公駒子の体験談とそのファンレターの内容がリリカルな部分で、そこに解決編がつくことでミステリーの体裁をなしているというわけだ。

で、この構造が後々もうひとつ大きな謎を構成していて……というのは読んでのお楽しみ。

身近に起きるちょっと不思議な謎についてのリリカルなタッチの小説というのはジャンルとしてあって、普通そういう作品は謎を解決しないまま、そこから受ける情感を重視する内容になっているのだが、本作はそこに解決編がつく。

そういう解決編は得てして理に落ちがちだが、本作が良いのは、論理的な内容を語りながらもそこから浮き上がる人物の繊細な情感を大切にしている点だ。

短編集だが、同じ主人公による連作になっているので、人物設定を新たに頭に入れる必要がないのも助かる。

他の読者とどの話が好きか話したりしたら面白いだろう。

ちなみに僕は白いたんぽぽの話が好きだ。


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ラベル:加納朋子
posted by カチハヤ at 13:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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