2018年02月22日

【映画の感想】 日活ニューアクションの時代 渡哲也 主演 『 前科・仮釈放 』





評価:★★★☆☆ 映像はこれしかありませんでした。



ラピュタ阿佐ヶ谷 のレイトショー企画 『 日活ニューアクションの時代 -アンチヒーローは「破壊」と「破滅」に向かって疾走する 』『 前科・仮釈放 』 を観てきた。


本作は渡哲也の『 無頼 』シリーズに続く新企画で、『 前科 』シリーズの1作目にあたる。(『 前科 』シリーズは全2作。)


なお、タイトルにある「仮釈放」「かりしゃくほう」ではなく「かりしゃく」と読むのが正しいのでお間違いのないように。


新シリーズとはいうものの、本作には『 無頼 』シリーズ同様に松原智恵子がヒロイン役として起用されており、一匹狼的な主人公の設定もやや引き継いでいるところがあるので、これを「新鮮さがない」と観るか、「待ってました!」と観るかは人によるだろう。

僕はというと、松原智恵子の美しさを前にすると大抵のことは許せてしまうので問題ない。


今回、松原智恵子の役柄は、チンピラである沖雅也の姉で職業は歯科医。

その美貌に惚れ込んだ渡哲也が患者を装って会いに行くと、彼のことを「弟を悪の道に引き込んだ悪い奴」だと思い込んでいる松原智恵子は、歯科治療用のドリルを使って 『 マラソンマン 』 ばりの仕返しで応戦する。

つい最近、『 スリービルボード 』でもあのドリルが凶器と化すシーンに出くわしたが、これだけジャンルも時代も異なる作品で同様の使われ方をしているとなると、もはや映画における “歯医者” という設定はこういうことのためにあるのではないかと思えてくる。


主人公の設定が『 無頼 』と似ていると前述したが、もちろん変わったところもある。

『 無頼 』が革ジャンで生真面目だったのに対し、『 前科 』はスーツにハットで軽薄に振る舞ってみせる。

バーでダンスに興じたりする場面もあるのだが、あまりロングで映していないところをみると、渡哲也はゴーゴーダンスは得意ではないのだろうか。

もし得意だったら、それはそれでイメージが違う気がするが……。


ダンスの話はともかく、バーの場面で重要なのは 杉本エマ 演じるホステスのゆかりだ。

彼女は渡哲也演じる竜次にゾッコンで、とにかく無邪気に彼を愛する。

ところが、竜次が史江(松原智恵子)に本気で惚れてしまったと知ると、失恋のショックを微塵も表に出さず、あっけらかんと「じゃあね」といって出ていき、ひとりになってからその思いをぐっと噛み締める。

かっこいい。

ヤクザ映画にはなかなか幸せになれない女という役柄がよく使われるが、嬉しくても悲しくても背筋のピンと伸びた生き方をしている人は魅力的だ。


ちなみに続編である 『 前科 ドス嵐 』 では、松原智恵子も杉本エマも出ておらず、僕が知っている役者では、渡哲也の母親役として 森光子 が出ている。


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posted by カチハヤ at 18:10| Comment(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月19日

【400字シナリオ】『 なんか悲しい 』


◯ 病院・廊下

   病室から「じゃあね」「また来るね」と

   言って出てくる数人の女子高生。

   廊下を右へと歩いていく。

   最後に出てきて彼女らを見送る母(42)。

   ふと見ると、反対側の廊下の先にある長

   椅子に妹(13)が飲みかけの缶ジュー

   スを持って座っている。

   母、妹のそばへ歩いていく。

母「こんなところにいたの。部屋にいればい

 いのに」


   と妹の隣に座る。

   間。

妹「前はさ、お姉ちゃんばっかりキレイとか

 カワイイとかって言われてちょっと嫌だっ

 たけど、病気になって痩せたら誰も言わな

 くなって、なんか悲しい」


   とジュースを飲む。

   母、妹の肩を抱く。


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posted by カチハヤ at 23:54| Comment(0) | 400字シナリオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月16日

【映画の感想】 日活ニューアクションの時代 渡哲也 主演 『 野獣を消せ 』


監督 : 長谷部安春
日活
発売日 : 1987-08-10



評価:★★★☆☆ ガチャン!っていうアレが見どころ



ラピュタ阿佐ヶ谷のレイトショー企画 『 日活ニューアクションの時代 -アンチヒーローは「破壊」と「破滅」に向かって疾走する 』『 野獣を消せ 』 を観てきた。

アップが前後してしまったが、鑑賞日は本作が2月7日で、ひとつ前にアップした『 無頼 殺せ 』が2月14日である。

アップが遅れた理由は単に作品の評価が低かったから(最初は ★★☆☆☆ だった)なのだが、それがなぜ ★★★☆☆ になったのかといえば、『 無頼 殺せ 』 の感想を書いているときにふと脳裏にあるシーンのあるモノが浮かび、そのあるモノの存在が本作の価値を底上げしたからだ。


そのあるモノが何なのかは追々書くとして、まず本作のあらすじを紹介しておく。


米軍基地のある街。若い女性が愚連隊にレイプされたのを苦に自らの命を絶つ。その女性の兄であるプロハンターの浅井徹也(渡哲也)は、妹の敵を討つために立ち上がる。


最初に耳にしたとき、プロハンターといわれてもピンと来なかったのだが、どうやら野生動物の調査や生態系維持のための狩猟を請け負う、プロのハンターのことのようだ。

といっても別に渡哲也がプロハンターらしい行動をするわけでもないので、単に銃を撃たせる必然性のための設定だろうと思っていたら、実際半分は当たっていた。

銃を撃たせたいだけならプロハンターという馴染みのない職業を持ち出さずとも、オリンピックの射撃の選手であるとか、他にいくらでもあるだろう。

劇中には射撃場のシーンもあるので射撃の選手でも特に問題があるとは思えない。

いや、「思えなかった」と過去形にすべきだろう。

なぜならクライマックスに至って、遂に観客は主人公がプロハンターでなければならない理由を知るからである。


その理由を書く前にまず敵である愚連隊について書いておきたい。

愚連隊のメンバー構成は男4人と女1人。

リーダーは藤竜也で、紅一点の女性は彼の恋人である。

藤竜也はとにかくかっこいい。

退廃的で暴力的で刹那的、どこからどうみても堅気には見えない色気がある。

残る男3人は、先日亡くなった川地民夫、尾藤イサオ、杉山俊夫。

川地民夫は珍しくサングラスを掛けてクールに決めていたので、菅原文太とのコンビで人気を博した『 まむしの兄弟 』シリーズの印象を強く持っていた僕としては、あとで名前を確認するまで彼だとは気づかなかった。

この3人の中で特に印象的なのが尾藤イサオである。

一番チンピラらしいチンピラで、終始意気がってはいるものの、その過ぎた強がり方が逆にどこか悲しみを誘う。

その尾藤イサオが、クライマックスにおける渡哲也との最終決戦において、(僕から見たら)一番おいしい殺られ方をする。

渡哲也演じる浅井徹也がプロハンターであることは前述した。

我々が野生動物を狩るハンターを頭に浮かべたとき、最も印象的な道具は何か。

それは、鮫の顎の骨のような形で、足を入れたときにガチャン!と閉まるアレ。

いわゆる、トラバサミである。

考えてみて欲しい。

これが山の中だったらトラバサミも違和感なく受け入れられるだろう。

ところがこの映画の舞台は明言はされていないが、どうやら横浜、横須賀、川崎あたりらしい。

そんなところで愚連隊を相手に対決するのに、武器がトラバサミである。

そしてそのトラバサミに挟まれた尾藤イサオが、あのちょっとしゃがれた声で「ぎゃー!!」とかいっているのである。

こんな貴重なシーンは、なかなか見られるものではない。

★をひとつ足すに値する、とても愉快な場面だ。

良い子は絶対に真似をしないで欲しい。



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posted by カチハヤ at 00:54| Comment(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする