2017年05月25日

【400字シナリオ】『 所有と支配 』


◯ 高級マンション

   玄関、スーツ姿の夫、靴を脱いで上がり

   ながら廊下の妻に鞄を渡す。

夫「メシ」

妻「はい」

     ×     ×     ×


   リビングのソファーで新聞を読む夫、通

   りかかった妻に、

夫「フロ」

妻「はい」

     ×     ×     ×


   ベランダで洗濯物を干している妻。

   ガラス戸越しに夫の怒鳴り声。

夫の声「おい」

   戸を開けた夫、ロミオとジュリエットの

   ロミオの仮装で、スマホを持っている。

夫「なんで仮装パーティーだなんて言ったん

 だ」

妻「あなたのタイツ姿が見たくて」

夫「……」




にほんブログ村
posted by カチハヤ at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 400字シナリオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月21日

【映画の感想】 ルビッチ・タッチ!U 『 君とひととき 』


監督 : エルンスト・ルビッチ
ブロードウェイ
発売日 : 2012-03-01
評価:★★★☆☆ Sit down!

シネマヴェーラ渋谷のルビッチ特集「ルビッチ・タッチ!U」で5月18日に鑑賞した。


サイレント期の傑作『 結婚哲学 』のセルフリメイク。

ジョージ・キューカーが監督として撮り始めたが、途中から実質的にルビッチが現場を仕切ったため、監督としてクレジットされた。

そう思いながら観ると、最初の方のちょっともたつき感のある箇所はキューカーが演出したところのように思えてくるのはルビッチファンの贔屓目か。

サイレント映画というのはトーキーよりスピーディーなので、『 結婚哲学 』よりも本作の方がゆっくりなのは確かだ。

ただ、それがもたついて感じられるかどうかは、実際の速度よりもリズム・緩急の問題なので、ルビッチの他のトーキー作品にそういうところがないのを考慮にいれると、キューカーに責任があると考えてもそうおかしくはない。


物語は『 結婚哲学 』をほぼ忠実に踏襲している。


アンドレとコレットは仲の良い夫婦。コレットの親友ミッツィは夫婦生活に不満を持っており、アンドレを誘惑する。一方、ミッツィの夫オリビエ教授は、妻と離婚するために探偵を雇って……。


役者に関しては本作の方が良い。

特にモーリス・シュヴァリエは、完璧な二枚目というより現実的にモテる男とはこういう人なのだろうというのを具現化したような顔立ちで、ルビッチ映画に合っている。

誘惑されて困りつつ、でも断りきれず押し切られてしまう普通の男の感覚を見事に演じている。


物語の基本プロットは同じでも、ラストの畳み掛けに関しては元作品を上回っている。

ラストの畳み掛けというと、本作から2年後の1934年に同じくモーリス・シュヴァリエとジャネット・マクドナルドのコンビで撮った『 メリー・ウィドウ 』があり、あっちはあっちで非常に楽しいのだが、印象の強さでは本作に軍配が上がる。

YouTubeで探したが動画が見つからないので見せられないが、一度観たらあの「Sit down!」は忘れられない。


にほんブログ村
posted by カチハヤ at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【映画の感想】 ルビッチ・タッチ!U 『 モンテカルロ 』


評価:★★★☆☆ 後頭部を撫でると運がつく!


ルビッチ映画を観てきて思うのは、とにかく “ つかみ ” でやられてしまうということだ。

なかでも僕が好きなのは、この『 モンテカルロ 』や『 生活の設計 』のような、動きで見せるサイレント映画的なヤツだ。


オットー侯爵の結婚式、盛大な音楽と人々の祝福の中、赤絨毯の上を堂々と闊歩していた侯爵が、後から駆けつけたメイドに耳打ちされ、慌てて赤絨毯を駆け戻る。花嫁が逃げたのだ。着の身着のままで汽車に飛び乗った伯爵令嬢のマラは、思いつきで行き先をモンテカルロに決めるが、カジノですってんてんに。そんなマラに一目惚れしたルドルフ伯爵は、理髪師に化けて彼女に近づくが……。


侯爵の結婚式。「この偉大な日に空は晴れ渡り♪」という人々の歌とは裏腹に、空は一点俄にかき曇り突然の豪雨。

赤絨毯に沿って整列した従者たちが一斉に傘を開き、新郎である侯爵はその下を誇らしげに歩く。

と、式場に入りかけたところでメイドが後を追うように駆け寄り、侯爵に耳打ち。

途端に侯爵は眉をハの字にし、情けない顔で慌てて踵を返す。

ーーこの冒頭の流れが相変わらず素晴らしいのだが、YouTubeにも動画が見つからなかったのでお見せ出来ないのが残念。

ルビッチの映画は基本的にこの種のやり取りが、時には洒落たセリフを交えながら全編に渡って繰り広げられる。

結末はハーレークインよろしくハッピーエンド確実だから、結果のわかりきっているものをいかに面白く見せるかという、エンターテイメントの王道を常に歩き続けてきた作家といえる。

僕はそんなルビッチの大ファンなのだが、たまには少し違う視点から彼の映画を観察してみたいと思う。

例えばこんな感じ。「人間ドラマとして観た場合、シナリオに足りないところはないのか。」

本作では劇中に『 理髪師と姫 』という演劇が出てきて、それが映画のあらすじにもなっている。

映画のストーリーと演劇とで違うのは結末で、演劇では姫は理髪師を愛しながらも身分の違いを考えて彼を捨てるが、その後で理髪師が実は王子だとわかり、最後は王子が愛より身分をとった姫を批難して終わる。

対して映画の方の二人はくっつくわけだが、マラがルドルフの身分より愛を重視していたかというと、そうではなく、むしろ金欲しさに再びオットーとくっつくのもやむ無しとしていたのをどう考えるか。

これをリアルと捉える向きもあろうが、全体の作りからして本作は “ こしらえもの ” の純エンターテイメントなのだから、必要なのはリアルより、わかりやすい爽快感だろう。

ここはブラッシュアップが必要だった気がする。

あと、ルドルフの私生活がまったく描かれないのもいけない。

彼が伯爵だというのはセリフでしか描かれないので、初見のときは、それが真実なのか、本当はただのギャンブラーであって身分を偽っているのではないかと疑ったほどだ。

おそらく、本作の肝はマラとルドルフのやりとりであって、ルドルフの私生活を描くことは登場人物を増やし、説明臭くなるからやめたのだろうが、理髪師の格好のルドルフが豪邸に入っていって召使に囲まれるというのは奇妙で面白いと思うので、僕だったらやっただろう。


本作はシネマヴェーラ渋谷のルビッチ特集 「 ルビッチ・タッチ!U 」で5月18日に鑑賞した。


にほんブログ村
posted by カチハヤ at 12:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする