2016年09月25日

【映画の感想】 鈴木則文復活祭! 『 温泉スッポン芸者 』




【シネマヴェーラ渋谷】公式HP ⇨ http://www.cinemavera.com/index.html


評価:★★★☆☆

シネマヴェーラ渋谷で開催していた『 鈴木則文復活祭! 』にて『 温泉スッポン芸者 』を観た。とにかくテーマ曲がいい。頭から離れない。

「 下手が上手よ 上手が下手よ〜♪♪ 」

上に貼った動画は音質はいまいちだが、バイクに乗っているシーンが好きなのであえて選んだ。一聴あれ。

主役の杉本美樹は71年に『 温泉みみず芸者 』で池玲子とともにデビューを果たすも当初は池の陰に隠れ二番手の存在に甘んじていた。

だが、東映との関係が悪化した池の代役として主演した72年の『 徳川セックス禁止令 色情大名 』で注目を集め、その後は池とともに東映ポルノの2大看板女優として活躍、78年に結婚を機に引退するまで学生芸者、女刑事、主婦と幅広い役柄を演じ、観客を楽しませてくれた。

本作も基本的なストーリーは『 温泉みみず芸者 』を踏襲している。

身内(姉)の借金返済のために温泉芸者となった夏子は、実家がスッポン料理屋だったことと、吸い付いたら雷でも鳴らないと離れない名器の持ち主であることから“スッポン芸者”と呼ばれ、一躍人気芸者に。その温泉街に無限精流の竿師段平が現れたことで夏子は段平とのセックス勝負に挑むことになる。

池玲子が正統派の美人顔なのに対し、杉本美樹は色黒でぶっきらぼうな物言いで、悪く言えばはすっぱな印象。

だが、一見はすっぱだからこそ、そんな彼女が人情味のあるところを見せると二割増し、三割増しでグッとくる。

脇を固める面々も相変わらず芸達者たちが揃っており、竿師段平役の名和宏、人体改造アーティスト役の山城新伍、温泉協会会長の殿山泰司など、彼らが映っているだけで絵になる。

珍しいところでは『 木枯し紋次郎 』の原作者笹沢左保が地元ヤクザの親分役で出演している。

なんでも笹沢は杉本美樹の大ファンらしい。

笹沢は72年の映画版『 木枯し紋次郎 』で主役を演じた菅原文太を子分に従え、山城新伍にいちゃもんをつける。

そこにスッポン芸者こと杉本美樹が現れ間に入る。

「今日のところはあんたの顔を立ててやるよ」と帰ろうとする笹沢に杉本がお礼にチュッ!とやるのだ。

何たる役得。

どおりでみんな作家になりたがるわけだ。


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posted by カチハヤ at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月22日

【映画の感想】 鈴木則文復活祭! 『 温泉みみず芸者 』




【シネマヴェーラ渋谷】公式HP ⇨ http://www.cinemavera.com/index.html


評価:★★★★☆

シネマヴェーラ渋谷で開催中の『 鈴木則文復活祭! 』にて池玲子と杉本美樹のデビュー作である『 温泉みみず芸者 』を観てきた。

タコツボ漁を発明したご先祖様を持つ多湖家の長女圭子(池玲子)は、抵当に入っている先祖代々の墓を取り戻すために金を貯めていた。だが、母初栄(松井康子)が度々若いツバメに騙されて金を持ち逃げされ借金まで背負ってしまったので返済のためやむなく芸者になる。名器の持ち主である圭子はすぐに“タコツボ芸者”として売れっ子になるが、その温泉街に性技で女を骨抜きにして意のままに操る無限精流の竿師段平が現れ大騒動に。圭子と初栄に次女の幸子を加えたタコツボ一家は段平一味との壮絶なるセックス勝負に挑むことになる。

という正気とは思えないストーリーの本作。

とにかく池玲子の魅力が詰まっている。

デビューとは思えない度胸の良さで惜しげもなく肌を露出する。

それがまた美しいことこの上ない。

美形な上にスタイルも抜群で、しかもそれを出し惜しみしないとあっては、もう何度お礼を言っても足りないくらいだ。

本作は全編ヌードやセックスシーンのオンパレードだが、それがちっとも暗くなく、微笑ましくすらある。

舞台が伊豆ではなくカリフォルニアあたりなんじゃないかと勘違いしてしまうほどだ。

いや、むしろこのおおらかさこそが、性をタブー視するキリスト教的世界観の影響を受ける前の、日本らしい性のあり方なのかもしれない。

圭子の母初栄がトラブルメーカーとして物語を動かす原動力になっているが、松井康子のぽっちゃりした体型と愛嬌が相まってどうも憎めない。

どんなに迷惑なことをしても母娘の関係が揺るがないのを見ていると、なんだか羨ましくもなる。

圭子に片思いする板前役の小池朝雄と、売れない芸術家役の山城新伍もいい味を出している。

巨根過ぎるのが悩みの種である小池朝雄の為に山城新伍が男根収縮装置を作ってやるところなどは、なかなか友達甲斐のあるヤツだと感心した。

映画を観終わり、大いに気に入ったので関連情報を探していると、YouTubeのある動画を見つけた。

そこで語られていたことが、映画の内容も驚愕だが、それ以上に驚愕する事実にぶち当たった。

なんと、池玲子は本作撮影時16歳だったというのだ。

ただ、それではまずいので同時にスカウトされた杉本美樹が18歳だったのをいいことに池玲子も18歳ということにされ、鈴木則文監督とプロデューサーが「2人は同い年の友達同士で、遊びにきたらスカウトされたということにしよう」と2人に言い含めたらしい。

このいい加減さをおおらかと言っていいのかどうかは賛否あるだろうが、まぁこんなに面白いんだからいいかな。


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posted by カチハヤ at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月18日

【映画の感想】 鈴木則文復活祭! 『 シルクハットの大親分 ちょび髭の熊 』




【シネマヴェーラ渋谷】公式HP ⇨ http://www.cinemavera.com/index.html


監督 : 鈴木則文
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
発売日 : 2008-05-21
評価:★★★☆☆

シネマヴェーラ渋谷で開催中の『 鈴木則文復活祭! 』にて『 シルクハットの大親分 ちょび髭の熊 』を観てきた。

本作は『 緋牡丹博徒 』シリーズのスピンオフ企画。

熊虎親分(若山富三郎)を主役に据えた作品は2作品作られており、本作は2作目にあたる。

若山富三郎というとヤクザ映画で強面の役をやっているイメージが強かったので、冒頭からコメディリリーフ全開なので驚いた。

これがまた堂に入ってる。

芸達者っていうのはこういうのをいうのかと思うくらいの抜群のコメディセンス。

年増に迫られておたおたしたり、華族のご令嬢にメロメロになったりと、生来の強面を逆手に取った縦横無尽のドタバタぶりに参ってしまった。

シリーズに別の役で出ている伊吹吾郎がそのキャラクターの弟という設定で出てきて「どうりでよく似ていると思った」と言ってみたり、『 緋牡丹博徒 』の主役である緋牡丹のお竜(藤純子)が危ないところで助けに来ると「兄弟はいつもいいところで登場するな」と言ってみたりと、ジャンル映画をメタ視点で観る楽しみ方もできる。

コメディと人情の話が続くので中盤以降ちょっと変化が足りないかなと思って観ているとクライマックスで度肝を抜かれる。

今まで人のいいおっちょこちょいだった熊虎が、いざ悪役の屋敷へ討ち入りとなったら強いのなんの。

若山富三郎の殺陣のキレは知ってたはずなのに、外角のスローカーブを見せられた後の内角高めの直球のように、いつもの三倍速でキレて見える。

こういう殺陣を見せられると、昔の映画をわざわざ観に行くことは価値のあることだというのが腹に落ちる。

これだけの殺陣ができる役者はもういないだろう。

あえて名前を挙げるとすれば、もう随分と刀を振っているのを観ていないが、真田広之くらいかもしれない。

若山富三郎は弟の勝新太郎と比べてなかなか売れずに苦しんだ時期が長かったというが、役者としての力量は決して劣るものではない。

実生活では勝新を上回る破天荒さだったというが、昨今見ないスケールの大きな役者を観られる貴重な一作として、観られるうちに観ておいた方がいいと思う。


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posted by カチハヤ at 18:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする