2016年11月17日

【映画の感想】 トム・クルーズ 主演 『 ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 』




評価:★★★☆☆ 見て損はない!


立川シネマシティでトム・クルーズ主演・製作の『 ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 』を見てきた。

本作はリー・チャイルド原作の小説「ジャック・リーチャー」シリーズの実写映画化作品で、2012年に公開された『 アウトロー 』の続編。


【 トム・クルーズ演じるジャック・リーチャーは元米軍憲兵隊捜査官。知人である陸軍内部調査部のターナー少佐がスパイ容疑で逮捕され、軍法会議にかけられると知ったリーチャーは、彼女の弁護官に会いに行く。事件の背後に巨大な陰謀の存在を感じるリーチャー。そこで彼は、弁護官から彼の娘の母親を名乗る人物によって軍に養育費の要請が提出されていることを知るが、心当たりはなく……。】


前作は世間的には賛否が半々くらいだったように思う。

70年代風の雰囲気を出した物語・演出が古臭いとか、地味だとか、ネガティブに捉えられてしまったのが原因だと思うが、僕としては逆にその辺が最近の、それこそ同じトム・クルーズの『 ミッション:インポッシブル 』シリーズに代表されるような大掛かりで派手派手なアクションが大勢を占める中にあって、地味ながらキラリと光るツボを抑えた作品として好ましく見た覚えがある。

それと比べると本作は、いろいろな意味で良くも悪くも今っぽくなったように思う。

ひとつは時代が『 アウトロー 』に追いついたというか(これはいくらなんでも言いすぎか)、ここ数年で70年代のジャンル映画っぽい雰囲気を出した作品がやたらと増えたのだ。

代表的なのはリーアム・ニーソンが主演している一連の作品。

僕が感想を書いたものだと『 誘拐の掟 』や『 ラン・オールナイト 』がそれに当たるし、パッと思い出すところでいうとスタローンとウォルター・ヒルが組んだ『 バレット 』、あと他に感想を書いたものでいうと、だいぶ前だけどケヴィン・ベーコンの『 狼の死刑宣告 』なんかもそのジャンルになる。


【映画の感想】『 誘拐の掟 』 ⇨ http://kachihaya14.seesaa.net/article/434233565.html

【映画の感想】『 ラン・オールナイト 』 ⇨ http://kachihaya14.seesaa.net/article/434170993.html

【映画の感想】『 狼の死刑宣告 』 ⇨ http://kachihaya14.seesaa.net/article/387544370.html



基本的にこの手の映画は大好物なので好きな作品もたくさんあるのだけれど、その中でも『 アウトロー 』は独特の作風で印象に残る作品だった。

このタイプの作品はだいたいが主役を演じる俳優のキャラクターに大きく依存しているものが多いのだけれども、『 アウトロー 』における監督のクリストファー・マッカリーによる “トム・クルーズ使い”は巧かった。

トム・クルーズの、ともすれば浮世離れして見える存在感を巧みに利用して、社会に適合して生きていくことが出来ない独自のジャック・リーチャー像を作り出していた。

未読だけど、おそらく原作のリーチャー像とは違うものだろう。

今思い出しても、意味もなくTシャツを脱いでナルシズムよろしく鍛えた上半身を見せまくったりして、まぁ、はっきりいってトム・クルーズの自虐ネタなんだけど、それがなんというか一風変わったユーモアを醸し出していて、大笑いといより、クスクスとこみ上げてくる感じで可笑しくて楽しかった。

監督がエドワード・ズウィックに監督が替わった今作は、残念ながらその辺が受け継がれずじまい。

前作のリーチャーが “変わり者” だったのに対し、今作は(おそらく原作により近いイメージの) “強面” になっている。

陰謀に立ち向かう探偵アクションものとしては、オーソドックスで、実際ちゃんと面白く出来ているので冒頭に評価に「見て損はない!」と書いたのだけれども、『 アウトロー 』の独特のタッチを期待して続編を見に来た者としては、もうひとつ乗り切れない。

それに強面が強調されすぎると、弱いと思ってナメてかかってきた敵をあっという間に倒してしまうという、いわゆる “ナメてた相手が殺人マシーンだったもの” 的な展開が楽しめない。

これはいけません。

娘が登場して最初は反発していたのが徐々に心を通わせるという展開も、スタローンやニーソンのような悲しい目をした主人公だったら成立するけど、もともと虚構の世界の住人のようなトム・クルーズと組み合わせると、ツルツル滑る座布団に座らされているような座りの悪さを感じてしまう。

ただ、そんな中でひとつ感心したのは、ヒロイン役となる女性軍人役のターナー少佐(コビー・スマルダーズ)と簡単にチュッチュしたり、寝たりしないところ。

前述したように僕としてはこのシリーズにおけるトム・クルーズの非現実感が好きなので、ギリギリで生っぽさが出ないようにしてくれてる点に関しては「ズウィックさん、ありがとう」と言いたい。

コビー・スマルダーズが髪を下ろしたら結構色っぽいのもポイント高し。

文章量的に不満が多くなってしまったけれど、基本的にこのシリーズは好きなので続編が公開されたら次回も必ず劇場に足を運ぶだろう。


【 ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 】公式サイト ⇨ http://www.outlaw-movie.jp/

【 立川シネマシティ 】 ⇨ https://cinemacity.co.jp/



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2016年10月04日

【月間まとめ】 2016年9月に読んだ本、観たDVD、聴いた音楽。


カチハヤの本棚 - 2016年09月 ( 17作品 )
堕靡泥の星 美少女狩り [DVD]
堕靡泥の星 美少女狩り [DVD]
監督 : 鈴木則文
読了日:09月04日
評価5

聖獣学園 [DVD]
聖獣学園 [DVD]
監督 : 鈴木則文
読了日:09月04日
評価4

華麗なる追跡 [DVD]
華麗なる追跡 [DVD]
監督 : 鈴木則文
読了日:09月09日
評価3

HUE CIRCLE
HUE CIRCLE
監督 : 鈴木則文
読了日:09月12日
評価4

まむしの兄弟 恐喝三億円 [DVD]
まむしの兄弟 恐喝三億円 [DVD]
監督 : 鈴木則文
読了日:09月15日
評価3

シルクハットの大親分 ちょび髭の熊 [DVD]
シルクハットの大親分 ちょび髭の熊 [DVD]
監督 : 鈴木則文
読了日:09月15日
評価3

<東映55キャンペーン第13弾>温泉みみず芸者 [DVD]
<東映55キャンペーン第13弾>温泉みみず芸者 [DVD]
監督 : 鈴木則文
読了日:09月17日
評価4

エロ将軍と二十一人の愛妾 [DVD]
エロ将軍と二十一人の愛妾 [DVD]
監督 : 鈴木則文
読了日:09月18日
評価5

現代ポルノ伝 先天性淫婦 [DVD]
現代ポルノ伝 先天性淫婦 [DVD]
監督 : 鈴木則文
読了日:09月18日
評価2

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9月は大当たりの月だった。

僕は★★★★★は滅多に出さないのにそれが一ヶ月に3つもでるなんて盆と正月が同時にきたレベル。

鈴木則文監督の作品はこれまでスルーしてきたが、それは特に意味があってのことではなく、なんとなく自分には合わなそうだなというぼんやりした先入観で、僕の興味レーダーに引っかからなかっただけ。

その先入観もあながち全てが間違っていたわけではなくて合っている部分(「どうせエロいんでしょ」みたいなこととか)も多々あるのだが、方向性は合ってても一つ一つの要素がメーターを振り切っていて、実際に観るともう当初考えいたものとは違う印象になっている。

エロはエロでも飛び抜けていると清々しくて、おかしな言い方だが、威風堂々という言葉がしっくりくるエロさ。

あー、日本に生まれてよかった。

鈴木則文作品で★★★★★をつけた2作品は感想を書いたので興味のある人はどうぞ。


【映画の感想】 鈴木則文復活祭! 『 堕靡泥(ダビデ)の星 美少女狩り 』 ⇨ http://kachihaya14.seesaa.net/article/441750836.html

【映画の感想】 鈴木則文復活祭! 『 エロ将軍と二十一人の愛妾 』 ⇨ http://kachihaya14.seesaa.net/article/442374981.html


もうひとつの★★★★★作品である伊藤祐靖著『 国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動 』は、モーリー・ロバートソンと対談していたので買ってみた本で、対談も面白かったけど、本ではその内容がより詳細で、かつ他のエピソードも面白くてとても興味深く読んだ。

まだ感想は書けていないけど、近いうちに書こうと思っている。


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2016年09月29日

【映画の感想】 鈴木則文復活祭! 『 エロ将軍と二十一人の愛妾 』




【シネマヴェーラ渋谷】公式HP ⇨ http://www.cinemavera.com/index.html


監督 : 鈴木則文
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
発売日 : 2015-03-13
評価:★★★★★ 大傑作!!!

シネマヴェーラ渋谷で開催していた『 鈴木則文復活祭! 』にて『 エロ将軍と二十一人の愛妾 』を観た。

ごめんなさい。

正直、タイトルだけ見て少しナメていたのだが、まさかこんな傑作だったとは……。

徳川10代将軍家治が隠居、幕府では田沼意次派と松平定信派が世継ぎ問題で揉めていた。田沼は家治の愛妾お八重に取り入り、自分の押す一ッ橋豊千代を強引に11代将軍と決めてしまった。一ッ橋家の御用人嘉門は学問にしか興味のない豊千代に筆おろしをさせようと吉原に連れ込むが、相手をしていた花魁が膣痙攣を起こし、二人は分離不可能に。困った田沼は、豊千代の影武者を用意できるという女鼠小僧弁天のお吉の話に乗り、湯屋の三助をしている角助を11代将軍家斉として登城させるが……。

林真一郎が家斉と角助の二役をこなし、池玲子が女鼠小僧を、杉本美樹が家斉の正妻となる茂子を演じている。

実在の人物に混じって由利徹と岡八郎が清からの使節団である毛沢山(もうたくさん)と陳万紅(ちんまんこう)として、ただでさえふざけた内容を更にハチャメチャで、ある意味サイケデリックに盛り上げてくれる。

前半はとにかくエロと笑いのオンパレード。

調子に乗った角助がとにかく女と見れば見境なしにヤリまくる。

鈴木則文流の底抜けに明るいセックスは、ビクトリア朝的なタブーなどどこ吹く風であっけらかんとしていて気持ちがいい。

ここまででも十分素晴らしいが、想定の範囲内ではある。

問題はここからだ。

エロと笑いの流れは前述した清の使節団の登場で最高潮に達し、そこからある事件を機に底が抜けたように頽廃へと真っ逆さまに堕ちていく。

咲き誇った花が腐ちていくようにスクリーンは死の匂いに満ち、それを体現するように角助=家斉は狂っていく。

もはや自分が角助なのか家斉なのかわからない。

彼は将軍の命令として小伝馬町の囚人を全て江戸城に集め、彼らに大奥へ行って女を抱けと命じる。

囚人たちは大奥へと雪崩込み、将軍の側室たちを引きずり倒し襲う。

恐るべき狂乱の舞台と化した大奥を、魂を抜き取られた抜け殻のようでありながら目ばかりギラギラした角助=家斉が、囚人と将軍の側室たちがまぐわう中をリア王のように行く。

本作を見てふとあることを思い出した。

確認しようと本棚から一冊の雑誌を取った。

それは数年前に池袋の古本市で購入した映画雑誌『 映画芸術 』の1976年12月号である。

そこに「’76日本映画・外国映画ベスト10ワースト5」という企画があり、その寄稿者の中にフランス文学者で映画評論家である蓮實重彦の文章がある。

蓮実はこの年のベスト作品の10位に本作の監督である鈴木則文の監督作『 トラック野郎 爆走一番星 』を挙げており、それについてこんな文章を寄せている。

「鈴木則文の十位は、いわばオマケである。彼はもう、『 徳川エロ将軍と21人の愛妾 』(原文のママ)のごとき傑作を撮らないのだろうか。」

本作の公開は72年なので、上述の文章は4年後に書かれたものということになる。

僕はまだ鈴木則文の映画をほんの一部しか観ていないが、蓮實重彦の言葉に拠るなら本作は鈴木則文のフィルモグラフィーの中でも極めて特異な地位を占める作品なのだろう。

「下品こそ、この世の花」と語った鈴木則文のひとつの到達点がここにある。


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posted by カチハヤ at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする